センター長挨拶
■地域連携災害ケア研究センターの活動
神奈川工科大学は建学以来、地域連携・地域貢献に力を入れ地域住民の方々と共に研究を活かす取り組みを行っています。地域住民の皆さんとスムーズな連携、共助体制を整えておくことは、高齢化社会においては必須のことと考えます。そのため厚木市と災害に関する包括協定を締結し大学が持つ機能を幅広く活用して頂く連携活動を実施しています。例えば、災害時における厚木市との情報伝達連携体制、災害時における帰宅困難者の受入れ体制、支援物資供給センターの設置と運用、学生ボランティアによる支援策など、発災時に迅速かつ円滑に実働可能な体制確立をめざし取り組んでいます。
近年、我が国では震災、台風、洪水、そしてコロナ禍など多様な災害が複合的に発生し、その度に不便・不安な生活を余儀なくされています。災害時においては、情報の収集、避難所での生活、疾患を有する被災者のケア、そして感染症対策が加わった現在、平時への回復作業はさらに困難を極めています。
このような災害発生から平時への復旧に至る困難に対して、本研究センターは、工学部・情報学部・創造工学部・応用バイオ科学部・健康医療科学部を有する本学の特徴を活かし、地域と連携しつつ災害時の対策を総合的に研究してまいります。研究活動は、常に実践的な対応を視野に入れ、その成果は厚木市をモデル地区とし、国の施策やガイドラインに取り上げられ全国に展開されることが期待されます。今後も地区自治体等とは連携体制を密にしながら大学として社会に貢献できる災害ケアの研究活動を積極的に推進していきたいと考えます。
■本研究センターにおける研究の3つの骨子
- 【災害ケア全体に関する研究】
A)地域と連携した災害時の健康維持に関する看護・ケア体制に関する研究
B)広い視野に基づいた災害時における諸外国との連携に関する研究
- 【災害対応システムの研究・開発】
C)災害時を想定した福祉機器の研究開発
D)情報通信を用いた避難所運営システムの研究開発
- 【避難所でのケアに関する研究】
E)避難所生活者(自宅避難者を含む)の心身両面の健康管理と外部機関の連携によるケアに関する研究
F)プライバシー確保の研究
などの他、地域連携災害ケア研究センターの目的達成に必要な研究を幅広いく行っています。
■研究体制
センター長、副センター長の下に「災害ケア研究室」「災害対応システム研究室」「避難所ケア研究室」を置き、ニーズに即応した研究を積極的に取り上げています。なお、地域連携災害ケア研究センターは、大学協議会、教授総会(拡大)の承認を経て、2017年度より工学教育研究推進機構の1研究センターとして位置付けられ活動を続けています。
今日的で急務なテーマである災害ケアに関して、学内外の研究者、自治体、企業、関係団体などの協力を得て実践的・効果的な成果を上げ、減災、防災を目指して大学としての社会貢献を果たしていきたいと考えます。
今後とも格別のご支援、ご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
■Logo説明
Logoのコンセプト:CareのC(ケアー)とDisasterのD(災害)をモチーフにロゴマーク化し、2つのマークを重ねることで「地域連携」「災害ケア」「助け合い」を表現しました。また、積極性や情熱の色とされる赤色と知性を表す色とされる黄色の中間色のオレンジ色を用いることで、すぐに行動に移ることができる前向きさや明るさ、温かさを企図しました。
■沿革
- 2011年3月11日の東日本大震災を契機に、大学でできる支援の実践と共に、学内の避難訓練や節電などの災害対応を始めた
- 2015年度より、神奈川工科大学に看護学科及び臨床工学科が設置され、それに伴い、工学分野と医療・保健分野の共同により、今日的な課題である災害ケアに関する新たな取り組みを切り拓く動きがスタートした。
- 2016年度には地域の行政、民間の関係機関と共に会合を開き、地域の今日的課題及び災害ケア研究を行うセンターの発足に向けてのあり方を検討した。検討のテーマは、「厚木市との連携に関わる、災害時の大学支援活動について」として、災害弱者となる高齢者、疾病をもつ人、障害者など支援に専門的な配慮が必要となる事例について、市の災害対応計画と大学の機能との相互理解を図ることとした
- 2017年4月に「地域連携災害ケア研究センター」が発足した。
- 2018年10月には市長室長、危機管理課長、危機管理課防災対策係長、そして市障害福祉課、市障がい者基幹相談支援センター、障害者施設長、同防火管理者、同法人危機管理員会座長、地域包括支援センターケアマネジャーの出席を得て、地域防災計画、避難所ケアなどについて意見交換がなされた
- 2019年には、シンポジウム「ICTを用いた厚木市の防災システムのあり方」を開催した。
- 2020年以降、地域連携を基盤とした研究推進が行われている。